にゃー🐈 ニャロです。
あららー、鵠沼ビーチは一転して鵠沼レイクになっちゃった。そんな日は、海を眺めてボーっとしちゃおうかなぁ。
ボーっとして湖みたいな海を眺めてると、8年間通い続けた出張『旅』先のフィンランドを思い出しちゃった。
令和四年のお姉さんたちが大好きな北欧雑貨なんかで名前は良く見るようになったフィンランド、どんな国だか、あんまり知られていないし、僕なんて全然知らなかったもん。
フィンランドは、人口たったの550万人。ムーミンの国なの。
ヨーロッパの北端で欧州連合EUの一員なんだけど、フィンランド人って、北欧人=でっかい白人ってイメージだったんだけど。実際には、スウェーデン系フィンランド人は背が高いイメージする北欧人なんだけど、サーミ人は日本人にそっくりの小柄な人が多くって。
山梨県の石和温泉にご招待したとき、サーミ人の頭に手拭い乗せて金髪隠したら完全日本人ルックス。笑っちゃうから。
僕が欧州に流刑、じゃなくってサラリーマン駐在することになったのは2000年、ちょうど通貨ユーロが導入された頃で、当時はモノクロ画面の携帯電話 全盛期。世界シェア断トツトップだった『NOKIA』って携帯電話メーカーはフィンランドの企業だったのね。
何てったって、欧州だけじゃなく中国もインドもロシアもアフリカもみんなノキアの携帯を買いまくり。2007年の携帯電話生産台数なんて4.6億台、世界シェア40%だったんだから。
だから、10円の部品をノキアの携帯電話1台に一個採用してもらうだけで、年間売上46億円。そりゃ、会社経営者としては、海外駐在させて営業させたくなるわよね。
確か、ほぼ毎月二回、ドイツからフィンランドに出張しまくって、一粒60円の光る電子部品を1台に10粒、企画生産台数8000万台のノキア携帯に一流エンジニアたちと売り込んで、600円×8000万台=売上480億円の受注、とか荒稼ぎしたのよね。
自動車業界みたいに量産終了後の面倒なサービス部品対応も無いし、美味しい仕事してたのよね。世の中、バブルの波にタイミング良く乗れば儲かる、ってことだわね。一応、仕事もしてた、と。
神様の温情か、僕はフランス北東部のワイン産地アルザスの中心都市ストラスブールから高速道路で2時間ちょいの、ドイツ フランクフルトの営業所に駐在ってなったんだけど。その後、フィンランドの首都ヘルシンキに自宅 兼 出張所って刑罰ができちゃって、ちょっと流石に経営者って無慈悲だなぁ、ってゾッとしたわ。
だって、フィンランドって、国土の南端にあるヘルシンキで北緯60度。国土の1/4は北極圏なんだから。寒いなんてもんじゃないんだかんね。
なんたって、夏は白夜。夜がマジで来ないの。深夜の2時になっても3時になっても、日が落ちないから、出張先のホテルで寝るのは至難の技。
だから、やむを得ずビール飲んだりプール付きスパホテル予約してエクササイズして疲れて寝ないといけないの。恐ろしいでしょ。
そんな過酷な出張『旅』先のフィンランド。営業所のあったドイツのフランクフルト国際空港からヘルシンキ国際空港まで、たったの2.5時間。
そうなの、羽田からソウルまでと同じ距離。ヨーロッパって広いようで密集してるから、別に極寒のフィンランドに住まなくてもビジネスは成立するわけ。
フィンランドには、ノキアの大きなR&D (開発センター)が三ヶ所にあって、営業としての獲物はそこにいるわけ。設計さんとか先行開発チームとかね。
携帯電話の開発って、自動車みたいに「企画から量産開始まで二年半」みたいな期間じゃなくって、プロジェクトによっては「企画から半年で設計完了、一年以内に量産開始」みたいな、ジオン軍モビルスーツ開発部も真っ青の短期間開発だったのよね。
だから、呼ばれなくても図々しくお客さんのR&Dのロビー乗り込んで、座って小説読んだり、打ち合わせしてないのに空想打ち合わせ議事録とか書いちゃうわけ。
あ、もちろん上司には「お客さんとの打ち合わせ」とか「急に呼ばれたので行ってきます」とか。嘘なんじゃなくって、お客さんの心の声を聴いてプロアクティブに動くわけ。
一番でっかいノキアのR&Dセンターは、ヘルシンキから特急電車で60分のSalo (サロ)にあって、そこは日本人営業だらけ。携帯電話の中身の電子部品って、昔も今も日本企業が強いのよ。マイコンは今は日本勢 弱いけどね。
ここはでっかい開発拠点だったから、アポ無しでもロビーで座ってればお客さんが声かけてきたり、強豪他社との打ち合わせの休憩とかで出てくるノキアのエンジニアを捕獲するわけ。
なんせヨーロッパ人って、二時間に一回はコーヒー休憩しちゃう習性があるから、コーヒーショップで待ちぶせするだけ。野鯉が魚道通るのと一緒。
万が一、エンジニアが誰も捕まんなくっても、デスクに電話したら不在だったりしても、その場で空想議事録書いて、「今日のミーティングで、お客さんから、次のプロジェクトでこういうサンプル欲しいって言われたから、一週間で100個作って。再来週持参して売り込むから日本からもエンジニア出張させて」って本部に支援要請。
一応は営業って役目でお給料貰ってたから、仕事はそんな感じで適当にやってたんだけど、フィンランドってお食事に関しては、相当の… 砂漠なの。
R&Dでお昼になると、ビュッフェスタイルのランチにお客さんが誘ってくれるんだけど、えーと、なんというか、うーん、って感じ。
だから、一流の営業マンは、「美味しい」お店をフィンランドで発見するのが重要なタスクなんだけど、苦戦したわね、マジで。
常連になったのが、ヘルシンキで見つけたネパール料理の店。ここバターチキンカレーは、マジで食砂漠のオアシスだったわ。
あとは、中部の町「Tampere タンペレ」の駅前のイタリアン。フィンランドでは食べれるってなもんで、たまに接待で使ったけど、うーん…
だから、最後の頃は、フィンランド出張『旅』では食事は諦めて、スパホテルのプールサイドで、
『ヘスバーガー』でハンバーガーとフライドポテト、『ラッピンクルタ』の生ビール。これがフィンランド出張『旅』の結論ね。トナカイとかワカサギとかサーモンとか一通り調査した結論なんだから、文句ある?
違うのよ。フィンランド人の価値観は、グルメに興味なし。自然の中にあるんだから。キーワードは「自然」「湖に面したサマーコテージ」「サウナ」、これに尽きるの。本当だかんね。
一回、家族旅行でフィンランド行って、タンペレから8時間の湖クルージングってのに乗船したんだけど、
15分同じ湖水の景色が続いたら、日本人全員爆睡。ジャングルクルーズみたいなほうが、日本人には向いてるみたい。
ノキアのエンジニアたちにサマーコテージに招待してもらったんだけど、
なんか、なんていうか、平和だなぁ、って思ったもん。世界中にフィンランド人しかいなかったら、多分戦争も核爆弾も環境破壊も、無いわ。
まあ、サラリーマンなんだから、お仕事なんだから、フィンランド担当になった時点で切ないってこと。
それでも、メモリアルなことはいくつかあったのよ。
まず、氷った湖に飛び込む、ってやつ。
結構な年寄りフィンランド人も、激凍な湖にジャンプしてんだけど、気をつけてね。マジで、5秒すると腕も脚も動かなくなって、辛うじて手すりで這い出たけど、手すりなかったら死んでたから。
あと、映画館。フィンランド人は英語力ある人が多くって、映画館でも普通に英語版なんだけど、ちょうどシュワさんの『ターミネーター2』見に行って。シュワちゃんが冒頭に登場したのよね。
そしたら、映画館のフィンランド人全員が立ち上がって拍手とシュワちゃんコール。意味不明だったけど、なんていうか、そういう一体感のある民族みたいよ。
そして、ムーミン好きなら生きてるうちに一度は行きたいでしょ。『ムーミンワールド』。僕は三回行ったけど、爽やかな感動が駆け巡ったんだから。
場所はフィンランドの南西端にあるナーンタリ。ヘルシンキからトゥルクまで電車で90分、そこからバスで30分でナーンタリ。タクシーが楽チンかなぁ。
ムーミン発祥の地だけあって、ムーミンの世界そのものなんだもん。
僕は、永遠の旅人『スナフキン』さんをリスペクトしてて。ご挨拶できて感極まっちゃったもん。
そんなわけで、海外駐在ってのは、人によっては過酷に感じるし、出張先が厳しい国なこともあるんだけど、割りの良い出稼ぎだし、無理やり現地の楽しい何かを探し出すのも『旅』だしね。
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