ナチュラル過ぎる料理人たちと旅するバジリカータ・プーリア・カンパーニャ・ラツィオ・ヴァレダオスタ・ピエモンテ 2024秋 #6 Torino➡Courmayeur➡Morgex

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ぐるめ

にゃー🐈️ ニャロです。

旅は9日目。
朝一でRentsmart24フィウミチーノ店にレンタカー返却。

実は、地獄のアルタムーラ旧市街にクルマで迷い込んで、かなりギリギリの細い小路を悲鳴上げながら抜けたとき、多分どっかで石柱に擦ったんだよね、フェンダー。


ちょっぴりだけど、樹脂じゃない鉄板に塗装のフェンダーだから、修理代そこそこかかりそうで

確か、借りたときに追加保険掛けたから、カバーされるはずだけど。やだなー。
なんてウジウジ思ってたら、レンタカー屋さんのお姉さん、イタリアには珍しく返却時にきっちり全周チェックして。

「オッケー、じゃシャトルバス待っててね」、だって。ずこー。
さすがイタリア。あの程度の擦りはノーカウント。いいじゃんね。

で、気持ち軽やかにフィウミチーノ空港でチェックイン。


半年前に買ったチケットなのに、ネットでの事前チェックインで「Waitlisted(空席待ち)」だったから焦ったけど、ウェイトリストカウンター行ったら発券してくれて。
ホッとして空港でピッツァ喰って、予定通りトリノ行きに搭乗。

満席の国内便、1時間ちょいでトリノ空港に到着。またもや定刻到着。イタリア…
さくっと荷物受け取って、空港内にレンタカーカウンターがある「Noleggiare」でチェックイン。ここは手書きでの受付で、サクサクっと受付終了。いいじゃんね。

クルマ受取場所も、空港内カウンターから徒歩3分の空港内駐車場、最高。地方空港バンザイ!
LEXUS SUV相当で予約してたクルマは、実際はカローラSUVだったけど、まだ走行距離10000キロ未満の新車だし、バックドアはオートだし、なかなか良いじゃんね。

向かうは北。高速道路で北へ。
予約したホテルがあるクールマイヨールまで150km、2時間かかんない近距離。
高速道路はめっちゃ整備されてるし、左右にそり立つ山の間を抜けて北へ北へ。

去年春のミラノ➡トレンティーノも山あいを抜けてく高速道路だったけど、トリノ➡アオスタのほうが山が急峻。そして、たまに急斜面にへばりつく葡萄畑が見えたり、放牧されてる牛が見えたり。

当たり前だけど、昨日までの中部〜南イタリアとは景色が全然違って、なんともよそ見ガチなドライブ。
ハッキリ言って、美しい景色の連続。
事故らないよう、気を付けながらよそ見しまくり運転。

州都のアオスタをあっさり通過して、クールマイヨールに日暮れ直前に到着。モンブランが美しい!

残念ながら、秋のモンブラン ロープウェイ(フニクラーレ)は本日11/3が最終運行日。
行けたらモンブラン上部からアルプスを見渡したかったけど、上部は気温マイナス数℃だから…

まー、いいじゃんね。
今夜は、クールマイヨールのモンブランに接した端っこの村、Entrevesにある、シェフ上田さんが共同オーナーの「L’Armadillo Vino Vivo」での夕飯を予約してるんだもんね。

ハッキリ言って、めちゃド田舎。
スキー場につながってるロープウェイ駅とスキー民宿がある以外は、ナンもない村に、なぜかポツンとあるこのワイン食堂、実はかなりマニアックな和の要素を織り交ぜたお食事を作る上田さんと、ヲタク過ぎるワインマニアのソムリエさんの共同経営店。

標高4800mのモンブラン(Monte Bianco)の直下にはトンネルが通ってて、そこを抜けたらフランスのSavoie地方。
だから、サヴォワの赤ワインでコース料理頂いて。

〆にグラッパ飲んだのに、帰り道、BARに寄ったらハナシの流れでMIRTO飲んで…

なんでイタリアの北端のバールで、サルディーニャの食後酒が出てくんのかはナゾだけど。

翌日10日目、快晴のクールマイヨールからは雄大なモンテビアンコがドーンと見えて。


ちなみに、モンブランはフランス語。イタリア語ではモンテビアンコ。
スイスに面したマッターホルンはドイツ語で、フランス語だとセルヴァン(Cervin)、イタリア語だとチェルビーノ(Cervino)。もちろん、イタリア語で覚えておけば問題無し。

今日は、クールマイヨールからクルマで10分のMorgexにワイナリーがある「Maison Vevey Albert」訪問なの。

そもそも、Maison(メゾン)=フランス語。そう、ここヴァレダオスタ特別自治州は、元々はフランス語が公用語だったサヴォイア家の領地で、フランスの統治下だったこともある歴史の場所。
だから、今はイタリアだけど公用語がイタリア語とフランス語のダブル公用語で、道路の案内板とか二カ国語併記なのねん。

令和になっても世界中で戦争や紛争や領土争いは終わりなく続いてるけど、さすがヨーロッパというか。欧州連合EUやら共通通貨€とか、「お隣さん同士で殺し合いとかアホらしいって学んだんだぞ、文句あっか?」って意思を感じるじゃんね。
EU離脱した英国連合は、EUとは海で国境隔ててるし、未だに連合内で諍いやってるし…

それはそうとして、クルマはモルジュの駐車場へ。そこでVevey AlbertのMirkoさんと待ち合わせ。

このワイナリー、ハッキリ言って相当シブいワイナリーで。
日本に入ってるのは、基本的に1種類。プリエブランって単一土着品種の白ワインのみ。
他にシャンパン方式の泡と、陰干しして凍ったらプレスする甘口ワインも造る年があるけど、日本にはほぼ入ってきてない、はず。

そして、その1種類の白ワインの味わい、かなり穏やか。
特徴的な香りや味や酸があるわけじゃないし、醸したオレンジ系でもなく、いわゆる「白ワイン」。ワインバーで出す感じじゃなく、料理のお供って感じそのもののクラシック系好きなヒトでもスルスル呑めるワイン。

そのラベルがまた、なんともクラシック。
スイスの民族衣装みたいなの着たお嬢さんが歩いてるのは牧草地と葡萄畑。
背景にはアルプスらしき雪山と古い教会。
ベタ過ぎるアルプスのイメージ通りの絵。

なんでこのワイナリーを訪問するかって、このワイン、かなり飲んでて。
なぜって、もう先に帰国しちゃったAシェフのお気に入りのワインで、かなり頻繁にグラスワインとして使ってたから、お客さんで食べ行ったときも、お手伝いのときも、かなり呑む機会があって。

スッキリしてて、特にお魚のマリネやお野菜の料理に寄り添う味わいで、日本のお酢にも合うから、使い勝手がいいっちゃ良いんだけど。
インポーターのホームページには、
「畑の標高900〜1200m」とかって、ホンマかいなって数字が書いてあるし、ナゾだらけ。
ってわけで、アポイントをとって訪問したんだけど。

ヤバかったねー、今まで色々とワイナリー訪問したけど、ここほど「訪問しないとわからない」ワイナリーは無かったねー。
ホント、訪問して良かったし、なんかビックリの連続だったなー…

ミルコさんに2つの畑を案内してもらって。
最初に標高低い方の「Le Salle」。氷河が運んできた肥沃な土の畑で、そこそこ平坦度があって、まさに晩秋のこの時期に牛の放牧してて、牧草地の隙間にポツリポツリと葡萄畑がある感じ。

そして、目を上に向けると、マジでラベル通りのモンテビアンコが。うはー、すげー!
ホント、青空だし、ほぼラベル通りの景色。マジかー、うわー。

棚仕立てのプリエブラン。兄弟2人で兼業農家ワイナリーやってるミルコさんたち。ミルコさんはレンジャー、マリオさんは牛の選別のお仕事もしてるんだって。


畑で、色々と特殊な景色が目に入ってくるもんで、質問連打。

「積雪は?」
「だいたい1m、最近は暖冬で50cmくらいが続いてる」

「この標高で凍害無いの?」
「遅霜とかで害がでることはあるけど、それ以外は問題無い。プリエブランはこの地に適してて、発芽遅くて熟すの早いのだ」

「なんで、畑がバラバラとまばらに分かれて点在してるの?」
「歴史的に、相続するたびに兄弟で分割分割を繰り返してきた経緯があって、小間切れになってるのだ」

「放牧の牛が、葡萄の畝のすぐ横まで…」
「この地域では牧畜が盛んで、真夏は3000mまで牛を登らせる。それが冬に向けて段々下がってきて、今年は気温が高くて、この標高1000mのエリアにまだ牧草が青々してて、それでここに牛がいる」
この翌々日にマッターホルン(チェルビーノ)のレストランで聞いたんだけど、ヴァレダオスタは傾斜だらけで豚畜に向かなくて、牧草を生かした牛畜しかできなかった歴史があるから、牛のチーズ(フォンティーナチーズとか)と牛のハム・サラミで食いつないできたんだって。へー。

そういや、フランスのジュラ地方も、コンテチーズのための乳牛飼育が盛んで、葡萄畑よりはるかに牧草地が広かったけど、ここも同じ。ってか、葡萄畑なんて小さな区画は2列しかなかったり。

「棚仕立ての柱は、標高の高いモルジュでは雪対策でコンクリート。ル サルはそれほど雪が積もらないから木の柱」
「ル サルは土が肥沃だから、ほおっておくとジャンジャン実をつけちゃうので、木あたり5房で収量制限してる。実がなりすぎると品質が下がるし、翌年以降の葡萄に悪影響があるから」
「逆に、モルジュの、特に岩山に張り付いた段々畑は岩由来の痩せた土だから、制限しなくても実なりは良くないが品質が良い葡萄が取れる」
「自分(ミルコさん)が1番大事な作業だと思ってるには剪定。数年先のことまで考えて1本1本じっくり剪定作業を行ってる」
「ここは標高が高過ぎてフィロキセラが生息できないから、うちのブドウは全部自根。だから増やすのも単純に枝を隣に延ばして埋めて…」

「棚仕立て(ペルゴラ)」っていっても、日本のナイアガラとか食用ブドウみたく1本の木でドカーンと棚枝を展開させるわけじゃなくて、1本1本間隔狭く植えてあって、棚の高さも1.5mくらい。収穫とか、めっちゃ大変そう…

色々きいたけど、ナニより青空に雪かぶったモンテビアンコと牧草地と乳牛の放牧と小さく小間切れになったブドウ畑。これはショッキングな美しさで。
そしてミルコさんの畑への愛情というか想いというか。こりゃ参ったわ。

次に見せてもらったモルジュの畑、特に石積みの段々畑。これも痺れるじゃんね。
曾祖父さん、爺さんがね、って言ってたけど。
その時代、相続する畑が小さ過ぎると、岩山沿いの土地を掘って、うじゃうじゃ出てくる石をどけて葡萄畑にして、でてきた石で石垣積んで、岩削って棚仕立ての支えにして。
エトナの石積みの段々畑もアレだけど、歴史的経緯が違うじゃんね。エトナは銘醸地での畑作りで、こっちは生きるための畑作り。うーん…

なんつーか、何もかもが圧巻。
圧巻ついでに、セラーで試飲させてもらったんだけど、
「今日のデゴルジュマンやるから、ちょっと待ってて」って。で、逆さに並んでるボトルのお尻をクルリクルリ。

「本数少ないんだけど、クラシック方式の泡作ってて。毎日クルリクルリと手廻しでね」って。
むふー、呑みたいじゃん!
泡は直売する本数すら無いんだって、そらそーだろなぁ…

そんな貴重な泡を「じゃ、呑もう!」って開けてくれちゃって、3種類(泡、白、甘口)の試飲呑み会に。

事前に、
「ミルコさんの白って、お刺身的な軽い鮮魚のマリネに合うし、野菜の料理にも合うし」ってハナシしてたら、
「そうなんだけど、ダントツ合うとオレが思うのはトロートサルモネッタのアフミカータだな」って。

???
ハナシを聞くと、いわゆる鱒なんだけど、モルジュの清涼で夏も冷たい水で養殖してんだって。
それを、ミルコさんの友達が養殖して燻製してるらしくって。ふむふむ、川魚の燻製…

子供のころ、養殖釣り堀で釣ってきたっていう頂き物のニジマス捌いたらお腹に目一杯ミミズが詰まってんの見てから、川魚はニガテで(天然アユは好き)…

なんてハナシしてたら、そのお友達に電話して「今持ってくるって」って。で、実際にVeveyのワインと凄まじい相性だし、そもそも鱒の燻製(軽い燻製)って、こんなに美味しいのー!?
仕事(レンジャー)サボって持ってきてくれて、2つお買い上げさせてもらって。アオスタの「Trattoria di Campagna」にも鱒卸してるっておっちゃん、やるなぁ。

で、ワイン。
「1000 Bulles」なる泡のワインがとにかく美味しくって。
香りは穏やかだし、味スジも白より少し酸味をしっかり感じるような、優しいけど、モンテビアンコの氷河が溶けて泡ワインになったような透明感のある、他に似てる泡が思い浮かばない美味しさ。
こないだシチリアで飲んだ「Longarico」が僕的ナンバーワン好み泡だったけど、

こりゃ同率1位だね。

そして甘口の「Blanc Flapi」も優しい甘口。これに絶対合うのがブルーチーズだって出してくれて。
うーん、旨い。ってか、ホントに美味しいんだと思うんだけど、止まらないミルコさんとの会話が楽し過ぎて、美味しいのか楽しいのか分かんない。あーあー、ますます大好きなワイナリーになっちゃった…

日本で売ってない(っぽい)甘口を2本買って、ミルコさんにサヨナラして、

少しモルジュの村の中心部を散策。この教会が、ラベルの教会だね、きっと。

東も西も山に挟まれたモルジュ、北にはモンテビアンコ。だから、陽が落ちるのが早くて。日陰は寒いなー、って、もう15:00じゃん。朝から…

今日からヴァレダオスタ州の州都Aostaの民泊に2連泊。今回はダイヤルカギでチェックインだから安心だけど、早めにいっとこー。

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