にゃー🐈 ニャロです。
ナチュラルワインが好きで、シチリアが好きなら、180%ご存じのワイナリー『DE BARTOLI』。
有名過ぎるし、なんか僕の勝手なイメージで、「大手で、いっぱい従業員いそうだなぁ…」って思ってたり、「マルサラ酒とか、食後酒は素晴らしいけど、いわゆる白ワインは普通に美味しいんだよなぁ、普通なんだよなぁ…」、なーんて、思い込んでたんだけど。
あんなにカルロスのゴーンさんに教わったのにね。「現場に行かないとナニもわかんない」って。
織田裕二さんだって、「事件は会議室で起こってるんじゃない!」って激アツに叫んでたしね。
ホント、反省。
「シャッカまで行くんだから、すぐ近くにマルサラとトラパニに行くじゃん。だったら、通り道だし、バルトリにも一応寄ってこっか…」。舐めてるジャンね。マジ反省。
結論、『DE BARTOLI』は、ナチュラルなワインが好きなら、絶対絶対訪問すべきワイナリーだって、現地で確認してきたんだからね。ホントなんだから。
自分でもびっくりだけど、バルトリ家のワインは、泡も白も赤も食後酒も、大好きになっちゃったし、訪問した後のシチリアのリストランテで、ボトルで泡と白の2本飲んじゃったし。
えーっと、バルトリさんの家は、シチリアの南西の港町マルサラの中心部から東へ10km。国際空港があるパレルモからはクルマで1時間ちょい。
なんだけど、ワイナリーに近づくと、なんとも未舗装でデコボコな道になって。絶対ぶっ飛ばせないから要注意だし、Googleマップのナビがなかったら到着できないし。
とは言っても、お泊りした港町シャッカからも、クルマで1時間弱。結構ブドウ畑が多い平らな畑が広がるエリアにワイナリーはあって。近所には、灌漑設備設置してるブドウ畑もあったり。
さてさてバルトリさんとこはどんな畑なんだろね。
かなりご立派な建物の中庭にクルマ停めて、約束の時間までエンジンかけっぱでエアコン待機。だって、エトナで買ったワインが沸騰しちゃうもん。もう真夏、灼熱、マルサラは延々と平らな大地が広がってて、気分はアフリカ。
バルトリ兄弟のジュゼッピーナさんがお迎えしてくれて、案内は広報のお姉さん。ご一緒したのは、エミリア・ロマーニャのお医者さん、ワイン馬鹿に国境無し。ワインは事務所に預かってもらって、一安心。
まずは畑の見学。インポーターのヴィナイオータさんのホームページ見れば書いてあるけど、バルトリさんとこはマルサラに約10ヘクタール、パンテレリア島に6ヘクタールの畑持ってて、エトナにも畑持ってるんだって。大手だ…
んで、本拠地のマルサラ周辺ではGrilloってブドウだけ栽培してて、それで泡も白ワインもマルサラ酒も造ってるんだって、へー。
不勉強なもんで、アレなんだけど。Grilloなるブドウ、飲んだことはあるけど、あんま意識したことなくって。だから、結構色々知らなくって。
なんでも、元々Grilloは地元でマルサラ酒だけに使われてて、最初に辛口の白ワインに使ったのは先代のマルコさんなんだって。へー。
海抜50mも無さそうな低地に、真っ平らな畑が醸造所から地平線まで見渡せるんだよね。これで、スプマンテとか白ワインに酸が… って思っちゃうけど、これがしっかり酸があるんだよね。びっくり。
で、醸造所の真ん前に、どデカい穴凹ってか、掘ったのか、
ここ見ると、バルトリさんとこのマルサラの土壌断面が丸見えで。岩盤層があるんだよねー。
「このあたりは、とにかく雨が少ないんだけど、しっかり深く根を下ろせば岩盤層があって水がそこに溜まってるから、灌漑しなくてウチは大丈夫」って、なるほどねー。
「病害とか獣害は、困ることは?」って聞いたら、「ほとんど病害も獣害もなくって、雨が降らな過ぎることがあるとヤバいけど、だから根っこが深いことが大事」、って。なるほどー。
で、なんかね、スプマンテ用は8月、ブドウの完熟をまたずに早く収穫するんだって。ナゼって、スプマンテには酸が大事だから。白ワイン用のもその後に収穫して、マルサラ酒とかにはブドウが完熟するのを待って収穫するんだって。へー。
初めて見たんだけど、結構背の高い冷蔵倉庫が醸造所内にあって、スプマンテと白ワイン用のGrilloは収穫したらプレスするまで冷蔵保管するんだって。
酸を落とさず味をダレないようにするためなんだって。南国ならではの設備投資じゃんね。スプマンテの瓶熟成庫もエアコン付き。
標高の高いエトナなら、真夏でも夜は気温がグッと下がるけど、この辺は標高低いし、アフリカ大陸まですぐ近くの熱帯地域だし。色々工夫してんだねー。
んで、水平式のプレス機や、ステンレスタンク、赤ワイン用の木樽とか見せてもらって、
いよいよアレ、「あの」醸造蔵へ。
まずは、マルサラ酒の熟成蔵。かなり感動。
なんせ「時」がね、時の蓄積がね、味になってるお酒だもんね。木樽内で蒸発して減った分は一切足さないのがマルサラ酒の造り方。エアコン無いこの蔵は絶対、蔵の空気を感じてみたかったの。嬉しいじゃんね。
試飲で、1998年モノと2008年モノが、ほぼ同じ味わいだったから、2008年モノをお土産に買ったじゃんね。
そして、「DE BARTOLI」と言えば「Vecchio Samperi」。「酒精強化(アルコール&モストの添加)を行わずにソレラ方式で長期間に渡る酸化的な熟成をさせた極辛口のワイン」、ってヴィナイオータのホームページに書いてあるけど。なかなか、ワインについてお勉強してないと謎なワード連発だし、勉強してても飲まないとピンとこないけど、要はとっても美味しいワイン。
このVecchio Samperiの熟成蔵もね、これは見ないとわかんないね。マルコさんというか、バルトリ家の魂というか、偉大な何かがカタチになって、継がれてるって、ど迫力で感じちゃうじゃんね。こんなすっげー蔵を見せてもらっちゃって、感謝感激だわ。
しかーし、一番のびっくり感激は、その後の試飲で…
立派な建屋のお二階、試飲ルームってより、大パーティールームというか。100人規模の着席食事会開けそう、ってかやってそう…
まず泡。ってか、申し訳ないから、わざわざ開けないで… 美味いなぁ、初めて飲んだけど、美味しい泡だねー。Grilloの個性も感じられて、良いじゃんね。へー。
んで、全種類の白を飲ませてもらったんだけど。痺れたのが、Grillo 100%の「Grappoli del Grillo」。ヴィンテージ2022年は、日本で飲んでるイメージ通りに美味しいワインだけど、なぜか奥からエチケットが真っ黒にカビカビなボトルが2本出てきて。ってか、こないだのヴィナイオッティマーナ東京で遅刻してきたレナートさんだ。
「お前ら、ラッキーだなー。昨日VIPなビジターが来て、Grappoli del Grilloの2002年と2005年開けて残ってるから、味みてみな」、って。レナートさんがテーブルに来てくれて。
マジたまげたね、2002はすっかり熟成のピーク過ぎてんのか、色も薄茶けて、香りは出がらしの紅茶みたい。味わいは、美味しく飲めるけどヨボヨボのおじいちゃんな味。
だけど、2005がね、素晴らしい熟成を経たブルゴーニュのムルソーみたいな、わけもなくウットリしちゃう味わい。これがGrilloのポテンシャル!?すげーなー、バルトリ家のGrillo。
「この時代はコンクリートタンクだったから、今は古樽で違いはあるけど、面白いだろ?」って、そりゃもう、オモシロ過ぎて、バルトリ家のGrilloの大ファンになっちゃったじゃんね。あー、びっくりした…
この後、赤ワインもマルサラ酒も、一通り飲ませて貰ったけど、
Grappoli del Grilloがね、一番印象に残ったじゃんね。どれも素晴らしく美味しくて、こんだけ飲んで運転大丈夫なのかしら。大丈夫なんだけど。
んで、さてマルサラで昼飯食いに、と思ったら、レナートさんが、「昼飯食ってく?」って。そりゃ、僕はイタリア語で「遠慮します」なんて高等な語彙は覚えてないから、刹那「喜んで〜!」って。
やっぱ、ワイナリー訪問のアポイントは1日一軒。これ鉄則じゃんね。
そこには、レナートさんとジュゼッピーナさん、お母さんと社員の2人。うひひ、遠慮なく食べちゃうぜ。
なんとも旨そうな、
巨大マカロ二のパッケリに、多分火入れしてないサラダみたいなフレッシュトマトソース。暑いマルサラっぽい家庭料理じゃんね、美味い〜!
バルトリ家のエトナ ネレッロ・マスカレーゼの赤ワイン開けてくれて。かなり重く感じたなぁ、ここのセラーで二十年寝かせたら、たまらなく美味しく変身すんだろなぁ。その頃、また来ないとなぁ、ウヒヒ…
なんかなー、大手というか、従業員がそこそこいるワイナリーって、どうしても「造り手の想い」みたいなのが薄まるような気がしちゃたり、それこそ造り手さん不在で会えない=お話できなかったり。
でもねー、ここ『DE BARTOLI』は、オーナー一家がほんと現場回ってるし、従業員とコミュニケーションしてるし、それがワイナリーにも味にも滲んでるっていうか。なんか、「伝統の凄み」を感じちゃう「チーム・バルトリ」の味なんだろなぁ。
さーて、無事故無違反で、トラパニに向かおうかな。
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