自動車部品業界サラリーマンの葛藤 「これってものづくり? マネーゲーム? “コスト削減”の正体とは」

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株式投資

にゃー🐈 ニャロです。

世界が凄い速度でIT化や効率化を邁進していく中で、自動車業界も『電動化』『環境法対応』『テスラや中華系新興EVメーカーのシェア増加』『自動運転』などなどで過酷な競争での生き残りを図っているわけです。税金で喰っていけるお役所とは違うもんで、自動車関連業界で働くサラリーマンも大変よね。

『吉野家』牛丼並盛 386円(税込)のデフレの中で、乗用車新車価格は上がり続けてて、某一流自動車メーカー渾身の小型車『新型ノート』なんて、グレードによっては320万円とか。イメージする小型車価格って150万円くらいなんだけど、それって20世紀の話なのかな。

小型モーターの雄『マブチモーター』や、各種電子部品メーカーが「車載向け」売上高比率をグイグイ上げてるように、『パワステ』『パワーウィンドウ』『オートスライドドア』『カーナビ』から『LEDランプ』『自動ブレーキ』『電子ミラー』『半自動運転』まで、昔の車には無かった新機能がどっちゃり標準装備されちゃって、当然 乗用車一台あたりの原価はあがる一方なわけです。だから、乗用車新車の販売価格が上がっていくのは必然。

『アウディ』や『BMW』、『レクサス』のような「ブランド付加価値のお陰で、新機能導入によるコストアップをプライスにフル転嫁できる」自動車メーカーは幸せですが、ボリュームゾーンで闘う日系乗用車メーカーにとって、『コストダウン』は各社の中期経営計画の営業利益率達成のためにも、至上命題だったりします。

決算発表の『階段チャート』を見れば、『コストダウン』の重要視されっぷりが分かるでしょ?

これは、某自動車メーカーの決算発表資料に必ず登場する「営業利益増減分析」です。

左から2番目の「為替悪影響」「原材料価格高騰」「商品性向上」で悪化した▲1610億円に対して、右から4番目の「購買コストの削減」の+1042億円のリカバリー、が注目ポイント。
新車販売価格への速やかな転嫁が難しい「為替悪影響」「原材料価格高騰」だけでなく、「商品性向上」のコストアップ分まで「購買値下げ」したぞ、的なアッピール。

これって、2019年度の決算結果発表抜粋なんだけど、「待てよ、いっぱい買った方がディスカウントしやすいはずだから、トヨタはもっと『購買コスト削減』してんじゃね?」。フムフム。

じゃあ、同じ2019年度のトヨタ決算結果発表資料を見てみましょうか。

おおっ、似たような「原価改善の努力」なる項目で、同じ決算期に+1700億円を計上してますねぇ。

某社の+1042億円に対し、トヨタの+1700億円(+63%)。フムフム。

これって、どっちが良い成績なんだろ。売上高を同じ決算期で比較してみようかしら。

某社は9.9兆円に対して、トヨタは29.9兆円(+202%)。あれ、なんかおかしくない?

この年度で、某社の「購買コスト削減」÷「売上高」= 1.05%。

同じ比率でトヨタの売上高から逆算すると、トヨタの「原価改善の努力」は、29.9兆円×この1.05% = 3147億円出ないと、某社レベル以下ってことよね。しかも、ヴォリュームメリットがでるはずだから、トヨタのほうがより良い結果になるべきなのに。やっぱり、某ゴーンさんチルドレンである某社『購買』のパフォーマンスが凄すぎるのか、『ルノー』『三菱』とのアライアンス的値下げ能力が猛烈なのか、はたまた世界中の自動車部品メーカーが某ゴーンさんの大ファンで、値下げに協力的なのか。

色んな見解があると思うけど、自動車メーカー『購買』と自動車部品メーカーの『購買』・『営業』で「値下げ交渉」などなどを仕事してきた僕としては、想像ですが、こんな感じかなぁ…

・当たり前ですが、2年後に▲5%値下げを約束させられている部品の価格見積りに、部品メーカー(サプライヤー)は5%価格上乗せしますよね。していなかったら、その会社は倒産もしくは収益悪化しますもんね

・仮にそうだとすると、2年後にある部品メーカーは、お客様との事前合意通りに▲5%の価格下げを実施しますが、その部品メーカーの収益力は変わらない(余計に上げておいた価格を下げただけ、所謂『行って来い』)

・某自動車メーカーの社内査定上では、この部品メーカーの値下げ▲5%を『購買コスト削減』の内数として、決算発表の資料で見せてるけど、これって本当に『コスト削減』してるのかなぁ。なんだかマネーゲームっぽくないですか?

同じ決算期のトヨタと某自動車メーカーの『営業利益率』を比較すると、ちょいと謎が解けちゃうのかもね。トヨタが8.2%、某自動車メーカーが▲0.4%。何か感じる人、おおいんじゃないかなぁ。

ちなみに、某ドイツの自動車メーカーは、新車部品発注契約価格に「何年後にいくら値下げする」みたいな約束は無いのですって。なんでも、「新車立ち上げタイミングでの最安コスト」を実現させて、新車の収益最大化を狙ってるとか、いないとか。

じゃあ、そのドイツの自動車メーカーはどうやって『購買』部署の『KPI設定』やってるのかって? そのあたりに、日本のメーカーの『購買』部署のブレイクスルーのヒントがあるんじゃないかしらね。

同じ『マネーゲーム』なら『株式投資』だけにしておいて、サラリーマンとしては、リアルな『ものづくり』ができるといいんだけどね。

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