にゃー🐈 ニャロです。
人類って、ワインが好きな傾向にあるのか、たまたま僕の周りの人類にワイン好きが多いのか、正確にはわかんないんだけど。ワイン専門店やワインバーって種類のお店が世界中に何軒もあるんだから、それなりにワイン好きって存在するのは確かよね。
なんせ、サラサラ流れる小川が裏庭に流れてれば、喉が乾けば川の水飲んだり、川で洗濯したり、水洗トイレとして利用できちゃうけど、そうもいかない土地が世界中にはあって、
ウン千年前から、保存できる水分として、ワインは世界中で飲まれてきたんだから、人類のDNAに「ワイン飲みてえ!」って情報が太文字でガッツリ書き込まれてても不思議はないわよね。
そんなワイン史のお勉強も出来ちゃう「バローロ博物館(ピエモンテ州バローロ村)」にも今回訪問したんだけど、やっぱ何事も現場訪問が大事じゃんね。一日最大一軒のワイナリー訪問した今回の旅で、僕的に最大の発見だったのは「樽の香りと奥深さ」。え、「常識だろ!」って?
僕は、自分で見て嗅いで呑んで、自分の五感で確認しないとダメな性分なもんで。だって、人類の五感ってヒトによって全然違うじゃんね。
「何より発泡酒が好き」とか「シンナーの匂いが最高」とか、人それぞれ自由だし。実際、何が好きで何がキライなんて、人それぞれだし。
でね、ワイングラスってさ、ルネッサンスな形状してるじゃん。だよね?
あれってさ、ワインって飲み物にとって香りがとってもとっても大事だっていう証拠物件なんだよね。
そりゃ最終的には呑むわよ、美味しいワインは特にね。呑むし、口に含んで初めて「じぇじぇじぇ~!」ってびっくりする麗しいワインもあったりするけどさ。
でも、せっかくの素晴らしいワインは、ルネッサンスな形状のワイングラスで、マッタリゆったり存分に香りを愉しみたいわけ。
でね、僕は「新樽」の香りが特に苦手で。えーっと、日本酒で樽酒とか杉の桝酒とかあるじゃん。めっちゃ強烈に木の香りがするお酒。
その昔、醸造技術がアレだったりしてヒネた匂いを杉の木の香りで隠したり、そもそも日本人は杉風呂が好きだったり(僕も杉風呂は大好き!)。でも好んで選んで樽酒呑みたいとは僕は思わなくって。
ワインにも、ステンレスとかセメントとか樹脂とかのタンクだけで造るワインと、木の樽で寝かせたりして造るワインがあって。特に、新樽の香りがゴージャスだってんで、その昔には「リッチな香りの上級ワイン」みたいな扱いだった時代があるらしいのよね。新樽香。
僕は特に「バニラっぽい香り」が苦手で。トイレの芳香剤じゃないけど、「葡萄の香り」を強烈に邪魔する敵キャラだって感じちゃうの。
じゃあ「アンチ木の樽」派かっていうと、そうでもなくって。特に、ピエモンテ州のネッビオーロって葡萄さんの香りと、大きい古樽の組み合わせ。魔性の魅力、もう堪んなく大好き。つまり、「好きな樽香もある」ってこと。
そんな個人的な謎が、いくつかのワイナリー訪問で、今回少し解けたのよね。あんまりワインの香りに興味ない人類にはつまんな過ぎるネタなんだけど、僕的には超重要事項だから、忘れないようにまとめるわよ。
えーっと、まずびっくりしたのが、あの賛否両論というか、独特過ぎる複雑精妙な香りで唯我独尊って感じの、北イタリア フリウリのワイナリー『BRESSAN』に訪問したとき。
ここのワインって、1回飲んだら強烈に記憶に残る強個性なワインで、僕は大好き。癖強ワインなんだけど、赤ワインの香りには、中華のスパイス各種みたいな、台北の油化街みたいな香りが複雑に感じられて、始めて飲んだとき「ん?なんじゃこりゃ?!」って驚き桃の木。
ワインより何より癖が強いのは、造り手のフルヴィオさんなんだけど。
最高に好き嫌い分かれる織田信長さんタイプの「我が道を行く」系列のおじさん。僕は大好きになったんだけどね。ちなみに、誰かの顔が真っ赤なのは、多分フリウリ地方に生息する虫の一種に刺されたからで、決してコソコソがぶ飲みしてたわけじゃないみたい。決して。
『BRESSAN』ワイナリー訪問では面白話だらけで、それはまた別途シェアするとして、ここのセラー内で樽の話になったの。
「フルヴィオ様、おたくさまの高貴でワイルドで繊細なワインに、新樽の濃厚バニラテイスト臭は不要だと思うのですが、古樽として樽を仕入れたりしてるの?」って僕は聞いたわけ。
なんせ僕は、訪問した三馬鹿トリオの中で唯一、フルヴィオ様の眼(マナコ)を凝視してお話を拝聴し、機敏に移動し、ココロの底から頷いたりしてたから、そんなカワイイ僕の質問にフルヴィオ様は答えてくれたわけ。
「うちでは、色々な種類の木の樽を使ってて、樽にする前に木材を7年間雨晒しにして、新樽の強過ぎる香りを抜いた樽を購入してるのだぞ。だから、樽買った初年度から使ってるのだ」ってフルヴィオさん。む、むむむ〜!
やってるじゃんね、そうゆう拘りっていうか、自分の理想のワインを造るんだぞっていう情熱というか、好きだし。そもそも、あのバニラ香ムンムンが「俺のワインには不要だぜ」ってご意見を『BRESSAN』で聞けたのは朗報だわ。
更に、更に更に!
北イタリア ピエモンテ州のワイナリー『CANONICA』で、ジョヴァンニさんと樽香の話なって。
カノニカの蔵には、大きめのピエモンテというかバローロっぽい(ってかバローロの大御所なんだから当たり前)フードルっぽい大きな楕円の樽に混じって、小ぶりな樽もあって。結構新樽というか、まだ数年しか使ってなさそうな色味の樽で。
そんな蔵の中で、ジョヴァンニさんに「ジョヴァンニさんが造りたいのはバローロの畑で造る美味しいワイン?それとも、美味しいバローロ?」。
そしたら、「もちろん、バローロを造りたい。しかもクラシックなバローロ(なんとかボーイズ的な斬新なのじゃなく(笑))だぞ」、って。
で、追い討ちをかけて、樽についての質問をジョヴァンニさんにしたわけ。「新樽の香りが強いバローロはエレガントどころか、オ下品というか、残念な感じが僕にはするんですが、そこにあるほぼ新樽のような樽だったり、新しい樽を購入した場合、新樽の樽香はどう対処するの?」って。
そしたら、「オッホン、ワシのやり方なんだけど、新樽を買ったら三ヶ月間、塩水を入れておくのだ。参ったか!」って、嬉しそうに。
む、むむむ!さすがは敬愛する大好きなバローロを醸す伊達男、ジョヴァンニさん。実に樽香について深い洞察をされているわけです。
「樽の内側を焦がしてロースト臭が強いのも嫌だし、塩水だと普通の水よりも木の香りを吸い出しやすいのである」と説明してくれた、はず。なんせイタリア語で「樽」って、ワインの造り手さんたちは「legno(レーニョ)」っていうのよね。直訳するとレーニョ=「木」なんだけど。
多分、容器の種類が「木(樽)」「ステンレス(タンク)」「樹脂(タンク)」ってあるから、「木=レーニョ」っていうんだね、木樽のこと。ワインセラーや畑でのイタリア語、激ムズだぜ。
でね、カノニカさんの畑の景色もテイスティングも感動的だったんだけど。なんせパイアガッロの畑からバローロ村を含めたランゲ一帯を見下ろせちゃうんだもん。痺れるじゃんね、生きてて良かったじゃんね。マジで。
それは別の機会に。樽の香りの話に戻ると、ジョヴァンニさんがテイスティング(という名前の奪い合い。恥もへったくれもなく、速攻で一本空っぽに)で出してくれたバローロ パイアガッロ2018。
世界一大好きなカノニカさんのバローロを御本人と、ってのは差し引けないけど、開けたての線の細いシャープな感じが、透明感はそのままにドワドワと時間と共にスケールが大きくなってきて、香りには色んな好ましい(僕の好きな)香りが盛り沢山に開いて。
ほんと、あれは、どんなに恥ずかしくても「もうちょっと試飲を」「あれ、なんか香りが開いてきて」「あれ、味わいも、まさに王様…」とかって言い訳つぶやきながら自分のグラスに注ぎまくり。
でね、言いたいことは、D.O.C.G.(ググれば2秒でわかるイタリアの規定)のバローロさんは、18ヶ月以上の樽熟成がマストなわけで。ジョヴァンニさんも「だいたい2年かなぁ」って言ってたし。
新樽苦手、バローロとかの古樽は好きって漠然と思ってたけど、ジョヴァンニさんの話を聞くと新樽をいきなりバローロに投入する年もあるってことだし、蔵の大きな樽も「5年目かな」なんて若めの樽も普通にあって。
で、1ミリも苦手な要素の香りは見つからないわけ。だからカノニカのワインが大大大好きなんだけど。
帰国してからすぐ、鎌倉の某ワインバーで、カノニカのネッビオーロを呑ませてもらったの。
ビックリしたのよ。ジョヴァンニさん、「ランゲ ネッビオーロは一切木樽で熟成させないよ」って言ってたから、このワインの香りには木樽の要素はゼロなわけだけどさ。
スッキリ澄み切った透明感はバローロと似てるんだけど、香りの要素が圧倒的にシンプルなの。不味いとか寂しいってことはないし、ランゲ ネッビオーロも大好きな味わいなんだけど、キノコっぽさとか濡れた落ち葉みたいな感じとか、複雑さが圧倒的に違って。
そもそも、こんなゴージャスな比較テイスティングできるのは貴族か王様くらいだから、経験無くって当たり前なんだけど。
で、結論。
・木樽は敵じゃなくって、上手(好み)な造り手さんが使うと味わいが素晴らしくなる強力アイテム
・ただし、無頓着なメーカーや造り手さんもいるわけで、その辺は好みよね
まったく、半世紀も生きてて、新しい発見があるんだから、旅は止められないじゃんね。ハハハ〜。
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