なちゅ北海道ワイン研修2022 #1 3日目 : 余市憧れのワイナリー『ドメーヌ タカヒコ』で思いがけない「学び」があったって話、「寒くて雨が多いからこその…」

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ぐるめ

にゃー🐈️ ニャロです。

別に、「キャー、タカヒコ様、素敵~♥️」とかってわけじゃないけど、日本ワインにもフランスやイタリア最高峰的なワインに負けてない凄いのがアルじゃん、って初めて思ったのが北海道 余市の『ドメーヌ タカヒコ』の自社畑ピノ・ノワール「NANA−TSU−MORI 2014」だったから、やっぱ緊張しちゃうわよね。

とっても印象に残るワインなの。特にフランス ブルゴーニュの素晴らしいピノ・ノワールを

余市の『ドメーヌ タカヒコ』アポイントは17:00。ちょいとクルマで入りづらい小径をそーっと入っていったら…

これじゃんね、これがアノ
『ドメーヌ タカヒコ』の醸造所なのねん

今回、なんで17:00のアポイントなのかって、総勢20人弱の団体でのワイナリー案内って枠組みに入れてもらったってことみたい。それはそれでいいじゃんね。

なだらかで美しいピノ・ノワールの畑じゃんね。さすがにこの人数だと畝の間を歩くってわけにはいかないけど

皆さんにズラズラとついていくわけ。団体行動苦手だけど、出来ないわけじゃない(多分…)から、一生懸命ついていったわよ。

しかし、葡萄畑って天気が良い西日だと、美しさが曇天の2.4倍ね。

ついていくのよー

『ドメーヌ タカヒコ』のタカヒコさんに案内してもらったんだけど、かなりプレゼン慣れしてるというか、お話上手だし、ストーリーの起承転結がエグいレベルでまとまっていて、ズッポリ聴き入っちゃった… 「じゃあ、最後に特別な壺の販売です。限定3個、1個120万円の現地限定販売なのでお早めに」って言われたら買ってたかも。

マスクマン=タカヒコさん

なんか、ありがたいことに、お話の最後のほうで樽出しの「ブラン・ド・ノワール」と「ヨイチノボリ 2021」、そしてボトル開けてくれた「ナナツモリ 2020」を味見させてくれて、お話のストーリーが最終的に味わいで腑に落ちるっていうのが、ニクい!

ってか、真実は定かじゃないけど、今回のワイナリーツアーには、懐かしのお笑い芸人「ルネッサンスーズ」のヒグチくんがいたり、翌日の小樽だか余市だか札幌だかでのイベントの前日だってんでイベント関係者が数人いたみたい。それで… まぁいいじゃん。ワインの神様バッカスさんが微笑んだってことね。

「ルネッサ〜ンス!」ってネタの緑色のほうね
色々やってるみたいね、知らなかったのねん
「ザ・シェフ」が気がついたの。ってか、マスクマンだし、あの芸人衣装じゃないと判別できないわよね…

別に「ヒグチカッター!」やってくれるわけでなし、彼は置いておいて、まずは葡萄畑でタカヒコさんのお話。

しっかり畑の細部は見れなかったけど、他の余市で見学させていただいた葡萄畑同様に、今年の葡萄は良い感じみたい。

いかにも、元々果樹園だったっぽい、なだらかな斜面ね
畝の中、歩いてみたかったけど
ヒグチカッター…
畝の端っこは見れたけど、見えた範囲は健全な感じね
ヴェレゾンも、まさに真っ最中

タカヒコさんのお話、僕的に「グッ」と響いたのは、「雨が少ないエリアのワインは面白くない。ブルゴーニュや余市のように寒くて雨が適量降るエリアで作られる葡萄・ワインだけに感じられることがある、おじいちゃんの家のような懐かしい香り、神社仏閣、山の苔、花、果物、森の香り、味わいには旨味、日本人として涙がでる味わい。キノコ、昆布、余韻が心地よい。熟成したブルゴーニュでも似た味わいが出ることがある。「薄っぺらい味わい」だから味わえる、繊細で幅があって余韻が長い味わい」。

これは、僕は初めて聞いた説というかロジックだけど、そうだなぁって府に落ちる論説なもんで、しみじみ「なるほど❗」って思っちゃった。まさに「目からウロコ」だったの。確かに、雨の少ないスペインやカルフォルニア、オーストラリアや南米、葡萄は、乾いた大地で健やかに完熟するんだろうけど、素晴らしいブルゴーニュやジュラやピエモンテのワインで稀に感じるウットリとエロチックで複雑怪奇なキノコみたいに湿った香りは、

〈タカヒコさんの説明〉

余市町は海があり、北海道では温暖なエリアで、ビティスヴィニフェラ(欧州系ワイン用品種)の国内最大の産地。

ソムリエ試験の筆記試験に出るわよ

自分は、ピノ・ノワール(というヴィティス・ヴィニフェラ種の葡萄)を作りたいが、栽培が難しい品種。世界中で栽培されているが、ブルゴーニュのピノ・ノワールの味わいに近づけない。(素晴らしいピノ・ノワール栽培には)適度な雨、寒さが必要。
ブルゴーニュは雨が多いエリア。葡萄の生育期間の雨量が450mm。余市町は560mm。世界のワイン産地を比較すると、チリは70mm、カルフォルニア170mm、オーストラリア200mm。
雨が多いと栽培上、問題が多い。少ないと楽。 例えばトマトのハウス栽培と同じ。

世界的に、ワイン用葡萄栽培は、雨が少ないエリアに生産地が移行している。一方で、日本は雨が多いが面白さがある。
ピノ・ノワールの栽培には「寒さ」が必要。
例えば函館は、涼しいエリア。寒い風が来るけど霧もでる。
パウダースノーか普通の雪か。ニセコはパウダースノーで特殊エリア。余市はパウダースノーのお陰で、冬の寒さから葡萄の樹が守られる。 冬の間、雪の下で(雪中だと温度が零下にならないので、樹が凍結せず)守られる。
畑に水はけは重要。丘がいい。平地だと霜害にも弱い。
この畑に地層は安山岩や玄武岩。重要なのは表土。微生物豊かな表土でワインに旨味を出したい。良い表土で旨味を出したい。

フムフム…

安山岩は水はけがいい。
玄武岩は固いし、根っこも通せない。そうなると葡萄の樹は表土にしか根っこを張らない。
葡萄の樹の根切りをしてる。根っこを下に伸ばさせるために根も剪定してる。
有機栽培の目的は、良い土を作るため。
微生物が多様な栄養分をつくって、それで良い葡萄を作る。それにより、お出汁のような旨味がでる。だから、この畑にはトラクターを入れない。
孫の世代までやれる農業を考えたい。農薬は食品安全性としては大丈夫だとおもうが、農家の農薬を撒く人間が危ないし、葡萄の樹の耐病性が弱くなる。
今は自分は農薬を使ってないが, 虫で葡萄が全滅しそうなら使う。無農薬が目的ではない。

果樹栽培の理想の土は山の土だと思う。元々この畑は果樹園だった。
仕立てを南北にしてるのは、風通しのため。葡萄に「傘掛け」が無いのは(雨が少ない)北海道 余市ならでは。寒くなると葡萄の樹は水を吸わなくなる。
今ちょうどヴェレゾン。ピノ・ノワールの異なるクローンを14種類植えていて、それぞれで粒の大きさも色づきも違う。
余市町にはワイナリーが16軒あって、 
今年更に2軒増える。直径7km圏内に、数年後には30を超えるワイナリーと増える見込み。
しかし、余市町内で収穫する葡萄をワインにしているのは全体収量の5%くらい。道外や余市外のワイナリーへの葡萄としての販売がまだ大半なのが実情。
自分は、ここの醸造所を「ガレージワイナリー」 にした。理由は、葡萄農家が真似できるようにするため。余市の過疎が止まるようにしたい。今自分の子供が通っている小学校の全校生徒は13名、先生が11名。過疎が酷い。
葡萄農家に、ワイン醸造に興味を持ってもらいたい。味噌醤油と同じで、ワインは自家醸造可能。『ドメーヌ タカヒコ』ではプラスチックタンク主体。なぜなら、木の桶より衛生的で使い勝手がいいから。
北海道全体でワインは約220万本生産されている。余市町で収穫される「ヴィティス・ヴィニフェラ」品種の700トンのブドウで70万本ワインが作れる。農家は、ワイン特区(の仕組みや制度)を生かして、葡萄が2トンあればワイン作りが始められる。
『ドメーヌ タカヒコ』には、朝8時から17時までの仕事で賄える小さい面積の畑しかない。ワイン醸造は、除梗もプレスもしない全房発酵。なので、楽できるワインの造り方。
10月に葡萄収穫後、11月はブラスチックタンクに放置して、畑の剪定作業を行う。12月になったら、葡萄を足踏みして発酵を促す(赤ワインの場合)。

本州にワイン用葡萄を供給するより、余市でワインを醸造してほしい。小規模ワイナリーで付加価値を押し出し、表土で旨味を出す。それを言葉にすることで、味わいを見える化していけば、(葡萄農家のワイナリーとしての)経営は勝負できる。

世界コンクールに日本ワインを出す意味は無いと思う。コンクールでの評価基準で勝負するのでなく、日本人が美味しいと思うワイン作りをしっかりやるべき。
北海道の気候特性を活かせば、負けないワインが作れる。

樽、他の小規模ワイナリーよりは多いけど、これだけじゃ、そうそう飲めないわけよね…
プラスチックタンク
プラスチックタンク
なぜか土壌専門家一同様もいて、マニアックな土壌質問してたね
実際に味わいながら聴くタカヒコさんのストーリーは、納得しちゃうじゃんね。まったく…

〈醸造所内でのお話とお味見(運転手は当然、香りだけ…)〉
「ナナツモリブラン・ド・ノワール 2021」木樽から試飲。まだシブい。貴腐が多く入ってる。
ソーテルヌ(の貴腐菌甘口ワイン)は酸化防止剤を多く入れる。
灰カビ菌は、寒さが好き。それを自分のワイナリーでは「ブラン・ド・ノワール」を作る。 (自分は酸化防止剤を添加しないが、)酢酸もマメも出ないし、臭いと言われない。漬物と同じで、発酵は微生物の仕事。貴腐菌にかかると葡萄の実に虫が集るが、いい発酵をする。
美味しい発酵食品は、寒くて雨が多いエリアで作られる。
だから(寒くて雨が多いエリアでは)健全な葡萄で、ワインは作りやすい。酸化防止剤は抗生物質のようなものだから、健全な発酵ができないと思う。

通常の見学では、試飲は無いと思うわ。「ナナツモリ」開けてくれちゃうなんて、ヒグチカッターさん御一行様に感謝ね

個性がしっかりしたワインを出せば、世界でも受け入れられる。
「YOICHI NOBORI 2021」樽試飲。味わいが強くて渋いのは、2021の天候がとても暑かったから(ちょっと目指す「薄っぺらい」味わいでなく強い味わいになっちゃった)。
自分は、とんこつラーメンでなく塩ラーメン(のような繊細な味わいのワイン)を目指したい。
酸化防止剤の亜硫酸をワインに添加すると、ワインの味わいが硬くなるので、和食と合わないと思う。(亜硫酸添加が少ない、もしくは無添加の)ナチュラルワインは、和食と合う。

雨が少ないエリアのワインは面白くないと思う。

「ナナツモリ2019」試飲
 おじいちゃんの家のような懐かしい香り、神社仏閣、山の苔、花、果物、森の香り、味わいには旨味、日本人として涙がでる味わい。キノコ、昆布、余韻が心地よい。熟成したブルゴーニュでも似た味わいが出ることがある。
「薄っぺらい味わい」だから味わえる、繊細で幅があって余韻が長い味わい。コンソメとは違う旨味。
テロワール、地層、気候だけでなく、人の暮らし、文化。キッコーマンの醤油は原料も海外、設備で世界どこでも真似できる。そうでなく地元の葡萄だけで、地元でワインを作る。
自分たちの歴史、文化を大事にワインを作っていくのが大事だと思う。日本中、世界中で同じ味を目指す均一化はやめるべき。冷静に考えていくべき。「旨味」という言葉が突破口になると思う。

いい御写真じゃんね

〈感想〉

結果だけ見ても凄いオジさんだけど、実に頭の良いオジさんね。まったく、あの奇跡的にワンダフルなブルゴーニュワインとごく一部の北海道ワイン、ピエモンテワインだけに感じるスペシャルな味わいの発生プロセスの分析と言語化までやっちゃってるんだもん。本当に痺れる90分だったかんね。

さ、札幌帰って、3日目の夜はどうしよっかね。

完全に「コロちゃん前」に戻った札幌タウン, どこいこっか

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